神を信じるなら

 何人(なにじん)かわからない、ロイなんとかという人から定期的に、ひと月に一回くらいメールが来る。迷惑メールにしてはずっと名前が同じだから、またこの人かと名前を覚えてしまった。友達みたいな挨拶からはじまり、綺麗な風景の写真の載ったPDFが添付されていたりする。けっこうまめなやつ。次来たら一回ちゃんと読んでみる。


むかし、神隠しを起こしたことがある。

よくおもちゃを買ってくれる知り合いの先生がいて、その日もその人はうちにきていて、だけど僕はその日は塾に行かなきゃいけなかった。

なので先生には塾が終わるまで待っててと無理なことを言い、帰ってくると当然先生もいなくなっていた。

子どもは怒る。そして拗ねる。拗ねて、うちの店の3階の、事務の人が座る椅子と机の下の間のところ、足を入れる空間にすっぽり入って、体育座りする格好で隠れた。それでそのまま寝てしまったことが、はじまりだった。起きたら電気は消えていて、誰もいなくなっていた。非常口の明かりで薄暗い中で、神様を信じていた僕は、下に降りろと神様に言われた気がして、(言われていなくても降りるしかなかったけど)これはしまったなと思いながら下に降りていった。

一階には祖母と弟がいて、ちょうど祖母が弟に、お兄ちゃんはいなくなってしまったんだよ、と言っているところだった。そこにどこからともなく自分が登場して、それがおわり。

そこからはあんまり覚えていなくて、あんまり怒られた記憶もない気がする。いなくなっていたのは多分数時間なんだけど、大騒ぎになっていて、警察にも連絡され、近所の人たちからの情報を募ったりしていたらしい。隠れていた時間に近くの通りを歩くのを見たなんていういい加減な情報もあったりした。

でもあんまり当事者の自覚もなくて、ちょっとおもしろがっていた。

次の日友達の家に行ったらちょうどうちの親がお詫びの品を届けに来ていて、それを一緒に食べたりしていた。思い出すとゾワゾワする話。



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